みち
挨拶
サムライさんと飯山一郎さんのお蔭でこの掲示板ができました。厚くお礼を申し上げます。元気旺盛なお二人に倣って小生も横着の身に鞭打って参加したいと思います。とくに、本掲示板では「世界戦略情報誌みち」などで提起した問題を高い見識をお持ちの皆さまとともに、よりいっそう深めていくことができればと願っています。
そこで、まずお願いしたのは、建築家渡辺豊和氏と経済人類学者栗本慎一郎氏の両氏が提案している「太陽崇拝の縄文ネットワーク・三輪山ネットワーク」と「ミトラ崇拝シリウスネットワーク」とツラン文明の関係を皆さまに考えて戴きたいと言うことです。
渡辺・栗本両氏の考えは渡辺豊和『扶桑王国蘇我一族の真実──飛鳥ゾロアスター教伝来史』(親人物往来社)、栗本慎一郎『シリウスの都飛鳥』(たちばな出版)『シルクロード経済人類学』(東京農大出版会)などに書かれています。これらには「ツラン」という単語はひとつも出てきませんが、カスピ海と日本とをほぼ一ヶ月で結ぶ草原の道に着目している点で、まさにツランと日本との関わり探る論考と言えます。
さらに、ミトラ信仰はもともと「太陽崇拝」と「公正」とを旨とするツラン起源の古い信仰ではないかと栗本氏は示唆しているように小生は感じています。つまり、この信仰のペルシア的展開がアフラ-・マズダーを主神として悪神アーリマンを斥けてしまったゾロアスター教であり、それは本来の善悪共にそのところを得しめていた天神信仰からすれば、一種の堕落であり、矮小化であったのだと、栗本氏は指摘しているように思います。善悪を分離したゾロアスター教の影響下にユダヤ教の痩せ細った一神教信仰がまとめられたのは、ユダヤ教神学が整備されたのがバビロン捕囚時代であることを考えると、説得力があります。さらに、栗本氏は、スキタイ、突厥、ハザールに共通の文明制度として「双分制」を挙げています。これはわが国では統治権が「国権」と「政権」に分離されたかのように継承されてきたことを言います。一般的には政治権力が「祭祀権」と「統治権」に分離されることを言います。栗本氏はこれがツラン系諸民族の大きな特徴だと指摘しています。
東日本大震災は私たちに文明論的な発想の転換を迫っっているものと思います。市場原理とお金万能のフェニキア=カルタゴ=ヴェネツィア流の寄生的文明原理からの脱却です。それには、長い間わが国は何を拠り所として社会を営んできたのか、改めて自覚する必要があるように思います。
他人にお金を渡すとき、「これは不浄のものではあるが……」という気持ちを込めて熨斗袋に入れて渡したのは、お金で決済される以上のもっと重大な関係が人々を律していたことの顕れであると小生は考えています。
お互いが違うことを非難するのではなく、それぞれの違いに意味があること、その違いを「公」のために役立てること、それこそが深い喜びを齎してくれるものと信じます。本欄がお互いの切磋琢磨と研鑽の場になることを祈っています。
みち編集長天童竺丸
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